【書評のようなもの】能川元一・早川タダノリ『憎悪の広告』

 能川元一氏と早川タダノリ氏の『憎悪の広告』は「過去約20年間(1994年から2014年まで)に日刊全国紙に掲載された『正論』(産経新聞社)、『諸君!』(文藝春秋)、『SAPIO』(小学館)等いわゆる保守・右派論壇誌の広告をとりあげて」(p.3)、その広告のメッセージを考察している。「広告のフレーズは、“これはおっぴらに使ってよい言葉なのだ”というメタメッセージを伴」(p.4)う。例えば『正論』2014年1月号では「『在日特権』という主張を誌面に登場させて」(p.174)いる。こうした「雑誌広告はそれ自体がこの社会のマイノリティに対する攻撃となることがある」(p.206)。高橋史朗氏は、親学推進協会メールマガジン第83号で「読者の関心を集めるための刺激的で下品なタイトルに悩まされてきた月刊誌」云々などと述べていたが……あ、これが"脳内汚染"の実例です。

 

引用文献
能川元一・早川タダノリ(2015)『憎悪の広告』合同出版