本書は日隈威徳氏の『勝共連合』の再刊である。柿田睦夫氏は解説で「日隈さんが発する批判には、たくみな皮肉とユーモアが隠されていることがある」(pp.7-8)と述べている。日隈氏は、"真の保守"である名越二荒之助のことを「名越某」と書いていたが、それはナゴシズム(歴史修正主義)に対し皮肉をこめて批判したものであったと伝えられよ。
さて、「統一協会は、韓国で設立された当初は、ごく小さな新興宗教団体だったのが、1960年代はじめ、KCIA(韓国中央情報部)に指導され、国際的な反共謀略集団に"成長転化"したものであり、それの政治団体が国際勝共連合である」(p.39)。
統一協会にとって「『キリスト教』とか『神』とかいうものは、人をあざむくための看板であ」(p.43)る。「宗教(キリスト教)で青年男女をさそいこみ、インチキ募金や詐欺的物売りで金集めに働かせ、"血分け"の教義にもとづく集団結婚でしばりつけ、反共謀略活動に駆りたてる集団、それが国際勝共連合=統一協会なのである」(同上)。とんでもねぇ話だなぁこれぇ!?
「日本の勝共連合の結成に大きな役割を果たしたのは、笹川良一ら右翼の巨頭であり、岸信介元首相であった。かれらは、航空機疑獄でも明らかになったように、戦後日本のもっとも暗い部分――韓国とむすび、その権利を吸いながら、アメリカに日本を従属させていく政治家、右翼――である」(p.50)。勝共連合は「その保護、援助のもとに勢力を伸ばし」…「韓国の軍事独裁政権の暗黒政治と同じようなファッショ支配体制を日本に持ちこもうとする、反共謀略部隊なのである」(同上)。いわばまさに美しい国・エバ国家日本をトリモロそうとしているのであります。
「米レーガン政権の核軍拡と侵略、中曽根政権のそれへの追随政策、さらに1984年9月の韓国大統領全斗煥の来日による、米日韓の軍事同盟体制の強化促進のもとで、かれらの、日本の反動化をいっそう進める先兵としての役割が、いよいよ明らかになってきた」(pp.51-52)。「ここ数年来、教科書攻撃にみられた『世界平和教授アカデミー』の勝共派"学者"の策動、神社本庁などの反動勢力とともにすすめている『日本の平和と安全を守る国民運動』、『スパイ防止法』制定の地方議会決議の運動など"勝共版草の根運動"ともいうべきかれらのあらたな手口の策動も、決して軽視できない」(p.52)。
「アダムとイブの話は『性の紊乱に対する神の暗示だった……私たちはそれを正していかなくてはならない』とも久保木はいう。だが、『性の紊乱』をいうならば、1955年の『梨花女子大事件』などで姦淫を利用した布教をおこなって逮捕されたのは、文鮮明自身ではなかったのか」(p.83)。久保木は「『聖書』から『勝共』を導き出す理屈は、『難しく、長くなるので割愛します』などと逃げてしまう」(p.132)…。
「国際勝共連合=統一協会というのは、一言でいって宗教(キリスト教)の衣をかぶった反共謀略団体」(p.222)であり「反民主主義の集団」(p.225)である。"勝共"という「言葉をつくりだしたのは朴軍事独裁政権で、軍事クーデターの4ヵ月後の1961年9月の『再建国民運動法』のなかではじめて登場した」…「『勝共』のスローガンのもとで、韓国では、全斗煥軍事独裁政権の光州大虐殺のようなファッショ政治が行われ、徹底的に民主主義が破壊されている」(同上)。こんなの!許されるわけねぇに!決まってんだろ!