【書評のようなもの】日隈威徳『勝共連合』

 「国際勝共連合=統一協会というのは、一言でいって宗教(キリスト教)の衣をかぶった反共謀略団体」(p.212)である。「統一協会は、韓国で設立された当初は、ごく小さな新興宗教団体だったのが、1960年代はじめ、KCIA(韓国中央情報部)に指導され、国際的な反共謀略集団に"成長転化"した」(pp.23-24)。「治安維持法を礼賛し、日本の国防強化、核武装化を主張し、第三次世界大戦を待望する国際勝共連合=統一協会は、日本と世界の良識ある人びとにとって唾棄すべき存在である」(p.142)。とんでもねぇ話だなぁこれぇ!?
 立正佼成会の庭野会長は久保木修己らを統一協会の修練会に参加させた。しかし「『統一原理』に熱中した久保木らは、佼成会から脱会し、統一協会に入会してしまった」(p.107)。「ミイラとりがミイラになって、そこにいった連中が、統一協会に移ってしまったのである」(p.108)。「アダムとイブの話は『性の紊乱に対する神の暗示だった……私たちはそれを正していかなくてはならない』とも久保木はいう。だが、『性の紊乱』をいうならば、1955年の『梨花女子大事件』などで姦淫を利用した布教をおこなって逮捕されたのは、文鮮明自身ではなかったのか」(p.68)。
 「1980年、『世界平和教授アカデミー』の主催した会議で発表されたレポート(森本レポート)にはじまり、教科書が偏向しているということで、激しい攻撃をしかけて、国会の場をつかって問題にした。しかけたのは勝共連合のグループであり、『森本レポート』は、自民党の教科書『偏向』攻撃のタネ本とされたが、執筆者グループは福田信之筑波大学長をはじめ、国際勝共連合=統一協会の組織する『世界平和教授アカデミー』のメンバーたちであった。かれらが中心となり、『教科書正常化国民会議』というのをつくり、中曽根内閣の『教育臨調』に呼応して、教育制度もかえ、教育内容も反動化・軍国主義化の方向へどんどん強めていくために、"下からの国民運動"をおこしていこうとしている」(p.129)。
 勝共連合=統一協会は「反民主主義の集団」(p.215)である。"勝共"という「言葉をつくりだしたのは朴軍事独裁政権で、軍事クーデターの4ヵ月後の1961年9月の『再建国民運動法』のなかではじめて登場した」…「勝共』のスローガンのもとで、韓国では、全斗煥軍事独裁政権の光州大虐殺のようなファッショ政治が行われ、徹底的に民主主義が破壊されている」(p.216)。こんなの!許されるわけねぇに!決まってんだろ!

 

引用文献
日隈威徳(1984)『勝共連合新日本出版社