【書評のようなもの】日隈威徳『現代宗教論』

 高橋偽史朗らが主張する"ウギップ"の効果などなくエバ国家ニッポソでは「50年代の逆コースの波に乗って、60年代にはいると国家神道の復活運動が公然とあらわれてきたが、その主軸は、神社本庁と一部の右翼的な宗教団体である」(p.77)。「生長の家を先頭に、右翼的宗教団体の政治活動が活発化しているなかで、『国際勝共連合』の反共活動が、70年代にはいって目立ってきている」(p.79)。
 1974年9月、世界平和教授アカデミーが設立された。「勝共連合(統一協会)は、さまざまな外装をこらして政界、財界、学界工作をおこなってきましたが、『世界平和教授アカデミー』も彼らの学界工作の有力な道具として設立された」「それは単に対学者工作というだけでなく、この組織を通じて学園支配をつよめる一方、学者の『権威』を利用して、自らを、さもまともな団体であるかのように世間に売りこもうとしたもので」(p.106)あった。
 1981年10月、日本会議の前身の一つである「『日本を守る国民会議』というものが結成された。これは」「国民運動の形をとって、例えば、スパイ防止法自衛隊法『改正』、靖国神社への公式参拝を要求する、そういうものを都道府県議会、市町村議会で議決させる、あるいは、町内会ごとに署名運動を行わせる。その署名に反対したり意見を言ったりするのは"アカ"だという形で、町内会レベルで運動を行う。そういった意味で、これは"下からのファシズム運動"ともよべるものだろう」…「こういったもろもろの右翼的運動のなかで」「『宗教』を看板にしている二つの運動体がある」(p.129)。勝共連合と反憲学連(生長の家)である。
 生長の家政治連合から選出された自民党の玉置和郎は1981年3月、「参議院予算委員会で、教科書問題を質問した」「そのときの質問は、玉置議員が参考人を呼び出して、その参考人に反動的意図をしゃべらせる形をとっていた。その参考人に出てきたのが名越某という人物である」(p.130)。ここで名越某は「『今の歴史教科書はけしからん』と始めた。歴史の教科書で百姓一揆やデモをとりあげている、こんなものみんななくして、水戸黄門や、忠臣蔵を教えたらどうだ、と言う」(p.131)…。歴史教科書に名越某の肛門を載せるべきであると伝えられよ!
 「国会における教科書論議の際には、筑波大のプロジェクトチームが作成した『森本レポート』なるものが論議になったが、実は、この森本を中心とする教科書のプロジェクトチームは、勝共連合とはっきり結びついている。勝共連合=統一協会世界平和教授アカデミーという謀略組織を持っているが、森本はこの重要なメンバーなのである」「教科書の問題を一つとりあげてみても、日本の右の勢力である統一協会生長の家が、ともに結びついて日本の軍国主義化をねらっていることがしめされている」(p.132)。とんでもねぇ話だなぁこれぇ!?こんなの!許されるわけねぇに!決まってんだろ!
 「宗教の衣をかぶり、謀略工作をつづける統一協会=国際勝共連合の策動を打ちやぶる運動を、広範な人たちと協力して推しすすめることが、切実に求められています」(p.126)。「なぜ、私たちは、反憲学連や勝共連合とたたかわなければならないのか。それは、平和と民主主義、人権と人間性を守るためである。そしてそのためには、理性と知性をみがかなければならないのである」(p.143)。名越某のようになってはいけないのである。

 

引用文献
日隈威徳(1983)『現代宗教論』白石書店