【書評のようなもの】神奈川新聞「時代の正体」取材班『時代の正体 vol.2』

 『時代の正体 vol.2』を読み終えたので、適当に引用しておく。
 川崎・桜本のヘイトデモに反対するカウンターの男性は、リベラル勢力の衰退を目の当たりにし、「この20年、小林よしのりの漫画や2ちゃんねるに熱中し、差別を娯楽のように楽しんできたつけがここに現れているのだと思った」(p.103)と述べている。実際、キバヤシよしのりが慰安婦バッシングを始めたのは1996年。丁度、20年前である。「ヘイトスピーチをよく聞けば、在日コリアンへの排斥感情の背後に、歴史修正主義が跋扈する時代の空気が浮かび上がってくる。川崎でヘイトデモを繰り返す津崎氏」(p.115)も慰安婦バッシングや植民地支配を正当化する主張を行っている。こうした歴史修正主義の言説を広めてきたのが日本会議(厨二病大きなお友達の集まり)である。
 日本会議の地方組織である日本会議広島の会長・松浦雄一郎氏は、講演会で次のように語っている。「この70年間、マスコミは総力を上げ、何も知らされていない人たちに」「自虐史観を植え込んできた」(p.127)、「憲法改正に向け、私たちは立ち上がらなければならない」(p.127)!! …厨二病乙。講演会に参加した男性(56歳)は、「何となく感じていた不安が正しいものだと確信した。日本は自国を守れる国にならなければいけない」(p.130)!! …また厨二病か、乙。男性がこの手のネタに「関心を持ったきっかけは、インターネットで目にした中国脅威論や集団的自衛権の必要性についての動画だった」(p.130)という。あっ…(察し)。
 日本会議神奈川の副運営委員長・木上和高氏(69歳)は、「日本会議に入会したのは55歳のときだ。知人に誘われ、歴史教科書の問題を考える集会に参加したのがきっかけだった」「保守の考えに興味を抱き、『諸君!』『正論』といった保守系雑誌を手に取るようになり、次第にさまざまな集会に足を運ぶようになっていった」(p.146)という。もちろん、保守系雑誌=トンデモ・オカルト雑誌で、月刊『ムー』のようなものである。木上氏は「知れば知るほど、日本の学校教育、特に小中学校の歴史教育はおかしいと思うようになった」(p.146)、「そんな教育で自国に誇りを持てる子どもが育つわけがない」(p.147)などと妄想を語る。お前がそう思うんならそうなんだろう、お前ん中ではな。…「ムー民」の相手をしてはいけない。
 木上氏は「団塊世代のど真ん中」(p.147)で大卒後、大手自動車会社に就職し「拡大と成長を疑うことなく、やがて1980年代のバブル景気を迎える」(p.148)。その後、バブルは崩壊し、早期退職をするが、「保守系雑誌を読むようになったのも、日本会議へ入ったのも、ちょうどこのころ」(p.148)だという。木上氏は「いまの日本社会に失われているのは『自立』だろう。そうした気概が失われていることが根本にある。それは憲法の問題と無関係ではない。自分たちでつくっていない憲法だからそうなる」「誇りや自信を失い、若者が将来に対して希望が持てない国になってしまっている」(pp.148-149)などと意味不明な供述をしている。

 

引用文献
神奈川新聞「時代の正体」取材班(2016)『時代の正体 vol.2 語ることをあきらめない』現代思潮新社