【トンデモ】籠池町浪「日本の心伝える塚本幼稚園が小学校開設」『「美しい日本」ものがたり 別冊正論27号』

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 オカルティック・ウヨク・高橋史朗氏…ではなく「瑞穂の國記念小學院開校準備室長」の籠池町浪氏は「めざすは『礼節を尊び、愛国心と誇りを育てる教育』です」(籠池 p.218)と述べている。愛国心とは超越神力のようなものだろう。「天照大御神さまがどのような思し召しで天孫を地上に遣わされたのか、神武天皇さまは建国の詔でどのような理念を謳われたのか、こうした日本国創建の伝承を学べば、自ずと日本人として誇りを持てると思います」(同上 p.219)…「教育とは結局は勅語の十二徳目に行き着きます」「十二徳目を忘れてしまえば、建国以来二千六百年以上続いてきた美徳を日本人は失うでしょう」(同上 p.220)…「気を付けなければいけないのは、すぐお隣の国の人たちは容姿が日本人に似ているため、その行動や思想の影響を日本社会に知らず知らずに及ぼしていること」…「テレビなどメディアに登場して、それを見た人はいつのまにか感化されてしまう」「決して人種差別ではありませんが、欧米のように外見で区別できない日本の場合、危うい本当に恐ろしいことです」(同上 p.221)とかデムパ飛ばしすぎ。なお、「保守」とか日本会議へんないきものたちとかを観察すれば「他者への思いやり」「を日本人は持っています」(同上 p.224)云々とは言えないことが分かる。
 「『保守』は頭の悪い危険思想の持主と思われ」(八木 p.55)ていたが、1980年頃から戦略を変え「普通」を装っている。79年の「元号法制化の原動力となったのは実に生長の家であった。しかも運動の方法は、かつての右翼のような暴力ではなく、また幹部だけが当事者と交渉するものでもなかった。自らの組織を動員して、傘下の地方議員を通じて、地方から中央に攻め上がる、かつて革新が地方自治体をおさめ中央を包囲するといったのと、全く同じ方法をとって攻勢にでたのである。そこに高度成長時代と違った右翼の新しい運動方法が見出されよう。生長の家は、右翼陣営におけるいわば新しい主役として登場してきた」(堀 p.229)。「主役の交替は当然、戦略の変化を伴う。元号法制化で彼らがとった大衆運動方式がそれである」…「右翼勢力の最大のターゲットである憲法改正について、彼らはこの大衆運動方式を採用する。彼らはそのために『日本を守る国民会議』をつくった」…「同会議の母体は元号法制化実現国民会議を改組したもので、したがって生長の家神社本庁勝共連合などがその実行部隊である」(同上 p.231)。髭しぐさの高橋史朗氏も混じっているが、彼らは「どこにでもいるサラリーマン風の『背広を着た右翼』である。その彼らが大衆の中に入り、大衆運動を組織して、今日の右傾化、反動化の尖兵となっている」…「大衆は『制服の右翼』を恐怖するが、一方で『背広を着た右翼』のイデオロギーを受入れてしまう。こうして元号法制化は、彼らの手で実現されてしまった」(同上 p.236)。
 「高橋氏は、『国家神道』は『わが国の伝統に根ざした宗教』であり、神道を『国家から分離することは、国民生活を混乱におとしいれる』と主張している」…「よほどの皇国史観の持ち主でなければ展開しない主張である」…「神道を国家から分離することが国民生活を混乱させる、という主張はなんとも奇妙なものである」(俵 p.19)…。「日本青年協議会(略称・青協)とその下部組織の日本教育研究所」(同上 p.61)とかでデムパを飛ばし「学者としては何ら実績もなかった高橋氏を、臨時教育審議会の専門委員に取り立てたのは、中曾根康弘元首相といわれている」…「高橋氏は、右翼組織『国民会議』の運営委員であり、統一教会勝共連合とも関わりの深い人物である」(同上 p.63)。高橋史朗氏や「つくる会」(分裂前)の「藤岡氏らは『反日』というレッテルを好んで多用しているが、かれらの使う『反日』は『非国民』と同義語である」(同上 p.69)。
 島薗進氏が「安倍政権の周辺の人たちが唱えるところの、『日本の伝統』『美しい日本』というものの実態を聞いてみると、ほとんど中身がない」(橋爪・島薗 p.58)と指摘しているように高橋史朗氏のデムパには中身がない。だから江戸しぐさとか取り入れちゃう。しかしながら現在、そのデムパは一定の影響力を持ってしまっている。西…じゃない東浩紀氏によると2000年代は「リベラルな人たちはリベラルではないということが大衆レベルで分かってしまった」「みんなが在日に対して優しくしようとリベラルは言う。でも世の中には、在日を差別する人がいっぱいいる。その現実はどうするのか」(東・大塚 p.207)…「ぼくは南京虐殺はあったと『思い』ますが」(同上 p.210)…「なぜ歴史の問題すら解釈次第という立場なのかと言われたら、それはぼくがポストモダニストだから」(同上 p.212)…。ポストモダンしぐさでデムパを甘やかしてきた結果がこれだよ…。

 

引用文献
籠池町浪(2016)「日本の心伝える塚本幼稚園が小学校開設 純粋な双葉を汚れた雨で枯れさせない」『語り継ぎたい真実 「美しい日本」ものがたり 別冊正論27号』産経新聞
八木秀次(2017)「保守とは何か~イントロダクション」『正論』2017年3月号 産経新聞
堀幸雄(1993)『増補 戦後の右翼勢力勁草書房
俵義文(1997)『教科書攻撃の深層 「慰安婦」問題と「自由主義史観」の詐術』学習の友社
橋爪大三郎島薗進(2016)『人類の衝突 思想、宗教、精神文化からみる人類社会の展望』サイゾー
東浩紀大塚英志(2008)『リアルのゆくえ おたく/オタクはどう生きるか』講談社