【トンデモ】ムーニズム(カタツムリズム)

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 1982年12月29日、「1通の『要望書』が、就任早々の中曽根首相に提出された」(茶本 p.9)。その「『要望書』を提出したのは、『日本を守る会』である」(同上 p.10)。「『日本を守る会』に結集しているのは宗教界右派を中心としたタカ派イデオローグたち」(同上 p.11)。彼らの要望は「行革断行、防衛力増強、教育勅語を奉じて愛国心を高揚させ、建国記念日には政府主催の奉祝行事をおこない、教育基本法を改定して文教政策を刷新するとともに、憲法も改定せよ」(同上 p.13)というものである。また、「日本を守る国民会議」(1997年に「日本を守る会」と統合して日本会議となる)は、「人脈的には元号法制化に成功した『元号法制化実現国民会議』や、国際勝共連合が実働部隊となっている『スパイ防止法制定促進国民会議』」(同上 p.38)などと重なる。
 生長の家仏所護念会統一協会は、「宗教界“右派ご三家”といわれる」(同上 p.205)。「日本の右派宗教団体は、いまやかつての“票田”としての受動的立場から大きくふみだして、右傾化推進の主要な実働部隊へと変化している」(同上 p.207)。欧米では、統一協会のことを「“ムーニズム”といい、信者たちのことを“ムーニー”とよんでいる」(同上)。「米紙が報じたレーガン大統領のスナップ写真には、『ニューズ・ワールド』紙をひろげて喜びにふける大統領の姿があった」「『ニューズ・ワールド』紙は、アメリカの統一協会が傘下にしている“統一協会系”の新聞」(同上 p.209)…。日本でいえば、世界日報(産経新聞)のようなものである。
 ムーニー清水馨八郎氏は「第三次世界大戦は情報戦としてすでに始まっている。スパイ防止法もない日本は、情報戦ですでに相当深刻な敗北を受けているのだ。それは日本の社会が左翼偏向マスコミによって巧みに悪い方へ意識を誘導させていることで明らかだ」(清水 p.53)と八木秀次氏のようなデムパを飛ばしていたが、ムーニズム(カタツムリズム)は、陰謀論が鮮明である。ムーニーのシンポジウムに呼ばれた宇野正美氏は「日米摩擦がうるさく言われていますが、これも実はアメリカの中のユダヤ系の人たち」…「東京裁判をやり、憲法を押し付けたのは、ユダヤ民族」(清原 p.164)…。そっ閉じ。

 

引用文献
茶本繁正(1983)『ドキュメント軍拡改憲潮流』五月社
清水馨八郎(1987)「私の郷土大学」勝共運動を応援する会編『私のみた勝共運動』国際勝共連合
清原淳平編(2015)『岸信介元総理の志 憲法改正』善本社