【トンデモ】サムシング・グレート

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 産経新聞社の『正論』…ではなく『ムー』2007年3月号にサムシング・グレートが沸いている。ブッシュ大統領が「公立学校では、インテリジェント・デザイン論を進化論とともに教えるべきだ」(中野 p.24)云々…。両論併記しぐさ。“バランスをとってトンデモを載せるべき”とする高橋史朗氏(ゲーム脳)のようである。「科学の世界には、パラダイムシフトという言葉がある」…「インテリジェント・デザイン論の登場は、まさに21世紀のパラダイムシフトと呼ぶにふさわしい」(同上 p.26)…。パラダイムしぐさ。クーンが提唱した「パラダイム」概念は拡大解釈され、高橋史朗氏(脳内汚染)のようなものに利用されている。これが共約不可能性(incommensurability)の実例です。
 「従来の科学では解き明かせなかった命題に、ようやくひとすじの光――神の光明――が差しこもうとしている」…「サムシング・グレート」「偉大なる何者か――」(同上 p.47)…。
 オッカムの剃刀高橋史朗氏(サムシング・グレート)の髭を(ry

 

おまけ:
 中村粲氏は、NHKの「『週刊こどもニュース』がひどい、とは前から気がついてゐたが、8月17日、24日放送の『少年Hが見た戦争』は洗脳番組以外の何物でもない」(中村 1997 p.203)とし、また大槻教授(プラズマ)については「この大槻センセーが反日左翼運動家であることは知る人ぞ知るだが」(中村 1998 p.193)…。某先生は「『赤』かどうか、まだ調査未了だが」…「『頭狂大学教授』(失礼!)の間違ひではないか、と冗談半分に揶揄するのだが」(同上 p.194)…。高橋史朗氏(親学)がバランスとれてるように見えるぐらいのデムパを出してる。


引用文献
中野雄司(2007)「総力特集 進化論を覆し、創造論を超える新理論『インテリジェント・デザイン』とは何か? 科学が発見した“神” サムシング・グレートの謎」『ムー』2007年3月号 学習研究社
中村粲(1997)「NHKウォッチング」『正論』1997年10月号 サンケイ新聞
中村粲(1998)「NHKウォッチング」『正論』1998年7月号 サンケイ新聞

【トンデモ】小田村四郎「私は陰謀説には同感なんです」(コミンテルンの陰謀)

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 サムシング・グレート高橋史朗氏…ではなく小田村四郎氏は「日本国憲法の三原則即ち国民主権、平和主義、基本的人権の尊重は今後も堅持すべきだといふ論が少なくないが、これこそ現実政治の運営や国民生活とは関係ないイデオロギーにすぎないのであり、祖国を未だに混迷させてゐる元凶なのである」…「現憲法の底流をなす亡国イデオロギーの払拭を究極の目標としなければならないと思ふ」(小田村 2005 p.15)とデムパを飛ばしている。また、オウム真理教の真理国基本律…ではなく産経新聞(世界日報のようなもの)のトンデモ改憲案について「今までに公にされた各改正案の中でも最も優れてゐると思ふ」(小田村 2013 p.29)としている。
 そして「占領政策の最大の遺物は占領憲法とこれに基づく教育基本法以下の各種法制であり、また彼等が強行した教育勅語排除や伝統破壊も無視できない」(小田村 2002a p.18)としつつ「歴史の研究、発掘が進むにつれて所謂慰安婦問題や南京事件の虚構性が実証され、他方東京裁判史観の一面性や日本文化の偉大さも国民の常識化しつつある。『国民の歴史』や『新しい歴史教科書』市販本の爆発的売行きはこれを実証している」(同上)という。五島勉氏の『ノストラダムスの大予言』が200万部以上売れたように“トンデモ本は売れる”のである。また、疑似「脳科学者の澤口俊之教授は脳の発達のためには少なくとも8歳くらいまでは母親が家にいることが望ましい、とされている」(小田村 2002b p.13)としており、高橋史朗氏や八木秀次氏と類似し、文が鮮明に統一されてる。家族的類似性(family resemblance)しぐさ。家が生長したり、家庭が連合してそう。
 「わたしは個人の尊厳というのが本当によく分からない」(小田村・井尻 p.20)という小田村四郎氏は「占領軍は日本国民に戦争に対する贖罪意識が全くないことを知るや、前代未聞の検閲や焚書による言論弾圧を通じて徹底的な洗脳工作(ウオー・ギルト・インフォメーション・プログラム)を開始」(小田村 2009a p.16)…「占領軍の強制がいかにひどかったかということにつきましては江藤淳さん、あるいは高橋史朗さんの著作に詳しく述べられています」(小田村 2009b p.19)…「私は、陰謀説には同感なんです。コミンテルンの陰謀っていうのは、やはり大変なものですよ」(小田村 2015 p.22)…。これが“脳内汚染”の実例です。
 『明日への選択』2006年3月号では、岡田尊司氏のトンデモ本『脳内汚染』が取り上げられていた。「本書については、『脳内汚染』というタイトルが多少刺激的すぎたためか、ネット上では本書に対する悪意に満ちた中傷や批判も見られる。だが」「本書が脳科学を専攻した臨床医としての知見と体験に裏打ちされた誠実な問題提起であることは間違いない」…「一部の過激ゲームソフトの販売規制の動きは問題解決への『第一歩』に過ぎないことが分かる。早急に、各種の映像メディアが特に子供たちの脳に及ぼす副作用について、食品や薬品と同様の厳格なチェック体制の確立が是非とも必要なのだ」(小坂 p.17)…。

 

引用文献
小田村四郎(2005)「憲法改正論議に欠けているもの ―亡国イデオロギーの払拭―」『誇りある日本の再生』2005年1月号 日本郷友連盟
小田村四郎(2013)「産経新聞『国民の憲法』所感」『日本戦略研究フォーラム季報』2013年10月号 日本戦略研究フォーラム
小田村四郎井尻千男(2003)「主権・尊厳・国益を保守する国策を追求せよ」『日本文化』12号 拓殖大学日本文化研究所
小田村四郎(2002a)「主権回復50周年に思う」『日本教育』 2002年1月号 日本教育会
小田村四郎(2002b)「伝統文化の危機と母性の復権」『弘道』2002年9月号 日本弘道会
小田村四郎(2009a)「国家意識喪失の現状とその対策」『弘道』2009年5月号 日本弘道会
小田村四郎(2009b)「基調講演 日本人の国家意識」『弘道』2009年11月号 日本弘道会
小田村四郎(2015)「インタビュー 戦中から戦後へ : 昭和の全時代を生きて、今、思うこと : 憲法、国防、皇室の弥栄」『伝統と革新』2015年2月号 たちばな出版
小坂実(2006)「子供の脳を侵す『映像メディア』 『脳内汚染』を読む」『明日への選択』2006年3月号 日本政策研究センター

【トンデモ】「パン屋『郷土愛不足』で和菓子屋に 道徳の教科書検定」

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 毎日新聞(2017年2月24日 大阪朝刊)は「道徳が正式の教科となる。小学校は2018年度、中学校は19年度から、検定教科書を使った授業が始まり、児童・生徒の評価も行われるようになる。安倍政権の教育改革の一環として決まった道徳の教科化を巡っては、愛国心教育強化を懸念する声も少なくない」とし、俵義文氏は次のように指摘。「戦前の日本の学校では、修身が全教科の筆頭教科に位置づけられ、教育勅語とともに、お国のために命をささげることのできる国民を育成する軍国教育に大きな役割を果たした。1945年の敗戦で姿を消したが、自民党内には修身を道徳科として復活させようという声が右派系議員を中心に根強くあった」「今回の教科化は、安倍政権だから踏み切ったものだ」「日本会議は97年に結成されると、道徳の教科化を運動方針に掲げた。連携する国会議員連盟のメンバーは、道徳の教科書を作るよう要求し、2002年に文部科学省が副読本『心のノート』を作り、全国に配布した」「06年の第1次安倍政権は、教育基本法を変えて愛国心教育を盛り込んだ。同時に教育再生会議を内閣に設置し、道徳の教科化を打ち出した。しかし、文科相から諮問された中央教育審議会中教審)は、正規教科には評価が必要で、心の中を評価することになるので、教科になじまないと答申。教科化は見送られた」「第2次安倍政権では、13年1月に教育再生実行会議を発足させ、いじめ問題をなくすために道徳教育を強化して正規の教科をつくることを打ち出した。失敗を繰り返さないため、すぐには中教審に諮問せず、『道徳教育の充実に関する懇談会』を設置し、メンバーに推進派を集めた。さらに、中教審の委員も入れ替えた。その上で14年2月に中教審に諮問し、10月に『特別の教科 道徳』として正規教科にするべきだという答申が出た」「道徳の教科化が提起された発端は大津市のいじめ自殺だったが、自殺した生徒の通っていた学校は文科省の道徳教育の指定校で、『心のノート』を使って熱心に道徳教育をしていた」…。あっ…(察し)。
 朝日新聞(2017年3月24日)によると「初めての小学校道徳の教科書検定が終わり、8社の24点66冊が出そろった。本来、『考え、議論する』を掲げたはずなのに、文部科学省が検定過程で付けた数々の意見からは、教科書作りに積極的に関与しようとする姿勢が浮き彫りになった」「『しょうぼうだんのおじさん』という題材で、登場人物のパン屋の『おじさん』とタイトルを『おじいさん』に変え、挿絵も高齢の男性風に」「『にちようびのさんぽみち』という教材で登場する『パン屋』を『和菓子屋』に」「『大すき、わたしたちの町』と題して町を探検する話題で、アスレチックの遊具で遊ぶ公園を、和楽器を売る店に差し替え」…。「おじさんを修正したのは、感謝する対象として指導要領がうたう『高齢者』を含めるためだ。文科省は『パン屋』についても、『パン屋がダメというわけではなく、教科書全体で指導要領にある《我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着をもつ》という点が足りないため』と説明。『アスレチック』も同様の指摘を受け、出版社が日本らしいものに修正した」…。えっ。

【トンデモ】親学推進協会メールマガジン第86号

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 親学推進協会メールマガジン第86号(2017年3月16日発行)で高橋史朗氏は、森友学園問題について“シロウの数え歌:私はやってない♪潔白だ♪”を歌っている。小学校のパンフレットの「写真の掲載については全く連絡を受けていませんので、知りませんでした」…「親学推進協会が全く関知しない『親学講演会』が開催されていることを報道で知り、驚いております」…「森友学園の教育方針と親学推進協会が推進している『親学』との関係が不明のため、コメントできません」…「『森友学園にお越しいただいた方々』として、安倍昭恵曽野綾子櫻井よしこ村上和雄渡部昇一中西輝政竹田恒泰青山繁晴八木秀次氏など20人の顔写真が掲載されており、その中に十数年程前に講演した時のものと思われる私の写真も含まれていました」…。あっ…(察し)。
 そして世界日報…じゃない産経新聞(皇紀2677年3月18日)によるとトンデモ「トライアングルの中心と名指しされた日本教育再生機構八木秀次理事長は、居酒屋会談について『失礼ながら、一幼稚園経営者に過ぎない人が参加するような会談ではありませんでした』と一笑に付す」…。八木秀次氏(Y染色体)レベルにならないと参加できないトンデモ会談。「八木氏は『7年前に知人に頼まれて森友学園の幼稚園で講演したことがありますが、移動の車中で弁当を食べさせられたことくらいしか記憶にありません。モデル校に位置づけたことなんかありませんよ』と話す」…。日本会議設立の1997年、この年はデムパ元年である。このヴィジョンは我が偉大なるサムシング・グレート(ry

【トンデモ】渡部昇一・梶田叡一・岡田幹彦・八木秀次『日本再生と道徳教育』

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 渡部昇一氏は「これからの道徳教育をどう再建するかといえば、その基本になるのは教育勅語の復活だと思います」(渡部・八木他 p.27)…「道徳教育をどのように再建するかというと、私は『教育勅語』の徳目にあるような、あるいは間接的にそれに沿ったような『いい話』を、子供たちに聞かせるところから始めるべきではないかと思います」(同上 p.33)とデムパを飛ばしている。徳目の一つが“トカゲのしっぽ切りしぐさ”。 ( ;∀;)イイハナシダナー。
 八木秀次氏は「専門は憲法学」(同上 p.143)…。えっ。「今、第二次安倍内閣教育再生を進めようとしています。この『教育再生』という言葉ですが、私の認識では、私がつくった言葉です」(同上 p.144)…。えっ。「念頭に置いたのは、1980年代の初めごろのアメリカです。そのころのアメリカは、レーガン政権の時代です」(同上 p.145)。くらいやがれ! 霊丸ーーーーッ!! 「レーガン大統領がみずから語った言葉として、有名なものが二つあり」「一つは『教室に聖書と祈りを復活させる』です」(同上 p.149)…。「道徳教育を行うにあたっては、よく『価値の押しつけはよくない』という反対意見が聞かれます。しかし、よい価値は押しつけなければなりません」(同上 p.157)…。“よい価値”とは、親学、江戸しぐさサムシング・グレート。「日本のすぐ近くにも、よその国に行って人の悪口を言い回るような国があります」(同上 p.160)と妄想する八木秀次氏は、籠池泰典氏と同じなのに「籠池氏は愛国と言えば何でも許されると考えているフシがあった。『なんちゃって保守』とひとくくりにされたくない」(毎日新聞 2017年3月15日 東京朝刊)とか言って“トカゲのしっぽ切りしぐさ”。( ;∀;)イイハナシダナー。
 統一協会は「戦後教育の基本は、日本国憲法教育基本法であったが、ともに個人主義の考え方に立ち、宗教的基盤のない、利己的個人主義を広げた」(世界平和教授アカデミー p.224)のであり、「教育荒廃の最大原因は、戦後の自由放任の雰囲気や家族関係の希薄化によって秩序感覚が崩れたことである」(山口 p.1)と高橋史朗氏のようなデムパを飛ばしている。「日本の国は核家族になってしまった。日本では、核家族を『新しい時代の、新しい生き方だ』と評価しているが、実は『壊れた家庭』なのである」…「核家族で育った子には檻で育ったサルとよく似た現象が現れる」(久徳 p.70)とのことだけど日本の核家族率は1920年には54%なので、当時もう壊れまくりで名越二荒之助氏(1923年生まれ)とか久徳重盛氏(1924年生まれ)とかが出てきちゃった。「少年A自身が自己流の変な神を立てていたが、それは彼にある普遍的な『宗教心』が適正な宗教教育によって適正に育まれなかったことを明らかにしている」(杉原 p.175)のであれば、変なサムシング・グレートを信じてる高橋史朗氏って…。
 以下、産経新聞…じゃない世界日報を置いておこう。壺しぐさ。

 

世界日報 1985年11月14日
 「最近いささか気になることは、日本人の勤労に対する意識の変化だ。働かないことを喜ぶ風潮、働くことを厭う風潮である」…「日本人の伝統的な家族主義は、働くことを喜びに創造してきた精神世界を持っている」…。和民しぐさ。

世界日報 1986年6月14日
 「日本人は悪いことをしてきた。戦争犯罪人を祖先に持っている。そういったことを教科書は教えているわけで、国に対する誇り、尊厳というものを否定する思想で彩られているのだ」…「今の教育基本法には、国家に対する忠誠心や、親に対する孝行だとかの概念が欠落している。そういったところから、教科書の内容についての問題もでてくる」…「『日本を守る国民会議』が編さんした『新編日本史』は、日本の文化に対して畏敬と愛惜の念がもてるように配慮された教科書である」…「われわれは失われた祖国への正しい精神を取り戻さなければならない」…。取り戻ししぐさ。

世界日報 1986年7月14日
 「『新編日本史』は、事実にもとづき、正確な自国の歴史と文化に対して青少年が愛情と誇りをもつことができるようにと配慮されて編さんされたものだった」…。代替的事実しぐさ。

世界日報 1986年9月14日
 「中曽根首相は『戦後政治の総決算』をスローガンにかかげて東京裁判史観や左翼勢力によってもたらされた精神の荒廃から日本人を立ち直らせることを念願としていた」…。中曽根しぐさ。

 

引用文献
渡部昇一八木秀次他(2014)『日本再生と道徳教育』モラロジー研究所
世界平和教授アカデミー(2000)「新しい道徳教育への提言」上寺久雄監・山口彦之編『「新しい道徳教育」への提言 「人格教育」をどう進めるか』世界平和教授アカデミー
山口彦之(2000)「まえがき」上寺久雄監・山口彦之編『「新しい道徳教育」への提言 「人格教育」をどう進めるか』世界平和教授アカデミー
久徳重盛(2000)「文明病としての人間崩壊」上寺久雄監・山口彦之編『「新しい道徳教育」への提言 「人格教育」をどう進めるか』世界平和教授アカデミー
杉原誠四郎(2000)「日本における政教分離の現状と宗教教育」上寺久雄監・山口彦之編『「新しい道徳教育」への提言 「人格教育」をどう進めるか』世界平和教授アカデミー

【書評のようなもの】塚田穂高編『徹底検証 日本の右傾化』

 『徹底検証 日本の右傾化』は、「右傾化」を多角的に検証している。以下、興味のあるところを引用しぐさ。
 塚田穂高氏は「自国・自民族の文化的独自性を表出する思想を『文化ナショナリズム』といい、日本人論・日本文化論として展開してきた」…「1980~90年代ごろから」「日本人論・日本文化論のなかで、日本の『霊性』や宗教的独自性を論じる『霊性知識人』が目立ってきた」…「これらは文化論の一つにすぎないが、その延長線上に今日の『日本スゴイ』論が接続している」(p.378)と述べている。
 早川タダノリ氏は「周辺国とりわけ中国・韓国への憎悪を交えて『日本スゴイ』を謳う本も存在する」(p.243)と指摘している。そうした「『日本スゴイ』本には、いわゆる『自虐史観』からの脱却というイデオロギーが共通して流れている」(p.245)のであり、「東京裁判GHQによる『洗脳』の告発とも連結している」(p.246)。
 能川元一氏は、WGIP論(江藤淳氏の陰謀史観)について「大きな問題は、WGIPの効果についての江藤の主張にある」(p.260)…「“現在”においてこそ効果を発揮しているとする江藤の主張には実証的な根拠がまったくと言ってよいほど欠けている」(p.261)と指摘。「小林よしのりの『戦争論』が『WGIP』論を紹介したことは、少なからぬ影響力を持ったと思われ」(p.261)、「在特会の主張する“在日特権”がWGIPに起因するものとされている」(p.262)がWGIP論は限定的にしか受容されなかった。しかし「近年になって、『WGIP』論をとりあげる論者、媒体の多様化が始まっている」(p.263)。特に高橋史朗氏の「『WGIP』論は陰謀史観として群を抜いて壮大であり、右派が重視する他の論点をも包含する体系性を持っている」(p.264)。…高橋史朗氏はトンデモ本『「日本を解体する」戦争プロパガンダの現在 WGIPの源流を探る』(2016年)で『タヴィストック洗脳研究所』や『新版300人委員会』を引用し“家族を核とする共同体精神を取り戻す”ために親学が必要だとしている(親学史観)。
 樋口直人氏の調査では、排外主義運動の「活動家たちに共通していたのは、もともと自民党に投票するなど政治的に保守的なことだった」(p.74)という。「『正論』や『WiLL』といった右派雑誌は、今や近隣諸国バッシングなしには成り立たない」(p.76)…「この右派論壇の主張を薄めたものがインターネットで出回るようになり、雑誌を読まない層にも広がっていった。排外主義の活動家たちは、こうした情報に接して感化され、在特会の主張を受け入れていくようになる」(pp.76-77)。
 高史明氏は「インターネットでは、在日コリアンに対するレイシズムが蔓延している。このレイシズムを考える上で」「『古いレイシズム』と『新しいレイシズム』の概念が有益である」(p.37)としている。「古いレイシズム」は“マイノリティは能力的・道徳的に劣っている”といった信念に基づき、「新しいレイシズム」は“差別は存在しないのにマイノリティは差別に抗議し特権を得ている”という信念に基づいている。「インターネット上で飛び交う『在日特権』という言葉」「を考えると『新しいレイシズム』の役割も見逃すことはできない」(p.38)。高史明氏がツイッターの投稿(2012年11月~13年2月)を定量的に分析した結果、「『新しいレイシズム』に関わるツイートには、ハッシュタグを用いて話題を共有しようとする投稿が多かっただけでなく、『拡散』を呼びかけるものも多く見られ」(p.44)、「『新しいレイシズム』に関しては、歴史問題における日本の加害性を否定することで、在日コリアンが日本に居住する権利に疑問を投げかけ、彼らが日本で社会保障を受けることを『不当な特権』と糾弾するものが多かった」(p.46)。
 斉藤正美氏は、家庭連合(旧統一協会)の結婚や家族をめぐる動きを検討している。家庭連合の「同性愛批判の根拠は、『結婚とは男女によるものであって、それはその間でしか子供が生まれないからだ』(八木秀次麗澤大教授、『世界日報』2015年10月24日付)という点にあるのだろう」(pp.209-210)と考えられる。
 鈴木エイト氏によると「2015年8月、文化庁はそれまで拒んできた統一教会からの名称変更申請を受け取り、『世界平和統一家庭連合』への教団名変更を認証した。その際永田町では、ある噂が掛け巡った。文科相(当時)の下村博文が強引に認めさせたというのだ」…「安倍晋三の他の側近も、親密な関係が発覚している。2009年以降、稲田朋美は世界平和連合の他、同じく統一教会系団体の世界平和女性連合の大会でも講演した」(p.346)…「世界戦略総合研究所の定例会では高橋史朗伊藤哲夫といった日本会議のコアメンバーらも講演をしている」(p.347)…。日本会議は、生長の家信者の学生運動が源流であるが、「統一教会の上層部には日本会議の会員も多く、『世界日報』の読者で構成され、保守系知識人を招いて定期講演会を行っている世日クラブにも、日本会議関係者が多数いる。両者は様々な関連組織を通じて交流している」(p.347)。ちなみに統一協会によると親学批判者は「文化共産主義者」で、幸福の科学(の関係者)によると「左翼が親学をトンデモ扱いしてる」とのこと…。
 藤倉善郎氏は「幸福の科学ナショナリズムが目指すものは大川総裁を地球至高神『エル・カンターレ』とする宗教国家日本の繁栄だ」…「こんな幸福の科学に対し」「保守運動が、一部であるとは言え、手を組んでいる。幸福の科学は、世の右傾化の一端を担っているように見えて、実は保守運動の思想的な空洞化をよく示す存在でもあるのかもしれない」(p.360)と述べている。あっ…(察し)。

 

引用文献
塚田穂高編(2017)『徹底検証 日本の右傾化』筑摩書房

【トンデモ】「保守論客も距離 パンフレットに写真『無断掲載だ』 疑惑浮上、手のひら返しも」

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 毎日新聞(2017年3月15日 東京朝刊)によると「『森友学園』の籠池泰典理事長が開校を目指していた小学校『瑞穂の国記念小学院』に、広告塔として利用された保守系文化人が多数いる」…「小学校のパンフレットに『森友学園にお越しいただいた方々』として、各界著名人の写真が20人分掲載されている」…「開校を喜ぶ応援団のような印象だ。毎日新聞はパンフレットに顔写真が載ったり、系列の幼稚園での講演を引き受けたりした人たちに書面や電話で取材を試みた」とのこと…。「首相ブレーンの一人とされる麗沢大学教授の八木秀次氏と、京都大学名誉教授の中西輝政氏は、顔写真が載ったことに『無断使用だ。学校を推薦したことはない』と怒る」…。私はやってない~♪潔白だ~♪ 「14年に講演した八木氏は『籠池氏は愛国と言えば何でも許されると考えているフシがあった。「なんちゃって保守」とひとくくりにされたくない』と話した。12年に講演した中西氏は上げ潮の保守思想に商機を見いだす人たちが増えていると分析。『学園に思想性は感じられなかった。園児の教育勅語唱和は誰かに見せるためのショーのようだと思った』と振り返る」… 「政治評論家の竹田恒泰氏から回答は得られなかった。自身のツイッターでは『教育勅語の徳目を教えている点など共感できるところがあり、幼稚園で2回講演した』『それにしても運動会の宣誓はやりすぎ』とする」…「一方、森友学園を『日本を立て直そうとがんばっている』とツイッターで擁護する人物がいる。元航空幕僚長田母神俊雄氏=公職選挙法違反の罪で公判中=だ。学園で過去に講演したこともある。『現在の騒動は反日的日本人たちの日本潰しの行動なのです』ともつぶやく。だが、パンフレットに同氏の顔写真はなかった」…。もうやだこの人たち…。