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【書評のようなもの】岡和田晃・マーク ウィンチェスター編『アイヌ民族否定論に抗する』

 アイヌ民族否定論を広めたのはキバヤシよしのり氏(こヴぁゃιぃ)である。「アイヌについての先住民族性と民族性(エスニシティ)を否定するロジックは、2008年に発売された小林よしのりの漫画『ゴーマニズム宣言 スペシャル』でアイヌを題材にした時にまでさかのぼ」(p.59)ることができる。「最近、小林よしのりネトウヨを批判しているのですが、そもそも、ネトウヨを生み出したのは小林の言説によるところが大」(p.24)きい。「小林の『わしズム』でアイヌを取り上げたあと」「『撃論』や『WiLL』や『SAPIO』や『正論』といった保守雑誌で、大手を振って同様の主張が再生産されました。これらは保守雑誌というより、ネトウヨ雑誌かレイシズム・マガジンと言ったほうが正確」(同上)だろう。また、「小林の議論に特徴的なのは、アイヌの政治的主張を『特権』の要求とみなすところだ。これは、歴史的に差別抑圧を被ったことへの回復措置を特権と称して攻撃する在特会のロジックとも同型で、現代の差別主義の特徴的な要素でもある」(pp.183-184)。

 

引用文献
岡和田晃・マーク ウィンチェスター編(2015)『アイヌ民族否定論に抗する』河出書房新社