【書評のようなもの】島薗進編『政治と宗教 統一教会問題と危機に直面する公共空間』

 島薗進氏は、統一教会が攻撃性・暴力性を持続できた「一つの要因として考えられるのは、統一教会が政治的な庇護を得た」(p.36)ことにあると指摘している。「統一教会は日本における布教活動の初期である1960年代前半から、自民党の大物政治家や財力豊かな保守的な著名人、さらには学界・教育界の有力者らと親しい関係を結んでいる」「1968年には国際勝共連合を設立し、これによって韓国の軍事独裁政権の長であった朴正煕大統領の支持を固め、日本の右派や自民党の右派とも手を結んだ。1974年には世界平和教授アカデミーを組織し、大学教授などの支持を得ることにも力を入れた」(pp.36-37)。「1984年の11月、統一教会勝共連合の支持者である岸信介元首相が米国のロナルド・レーガン大統領に向けて、統一教会の教祖、文鮮明を擁護する手紙を送っていた」(p.46)…。あっ…(察し)。
 中野昌宏氏は「統一教会と政府与党の望む各政策の本質的な共通点は、『個人の人権制限を是とする』考え方である」(p.87)としている。「統一教会内では、個々人がそれぞれの考え、思いをもつことは『サタンが入ってくる』こととされる。同様に自民党においては、個々人がそれぞれの考えを持ち・述べることは『行き過ぎた個人主義』と見なされる」(p.88)…。そっ閉じ。

 

引用文献
島薗進編(2023)『政治と宗教 統一教会問題と危機に直面する公共空間』岩波書店