【書評のようなもの】榊利夫『文鮮明主義の批判』

 勝共連合=統一協会は"名越化"している。「80年代後半からの文鮮明のより"聖化"をリードしたのも『思想新聞』であるが、最近は『頭翼思想』なるものを美化しようとして、日本帝国主義美化論をくりひろげてきた」(p.116)。「ロックやトインビーなどヨーロッパの有名学者の諸説を引きながら、自己流の解釈で、結局は、文鮮明の提唱した『頭翼思想』『神主義』に流しこんでいくというものであった」(pp.116-117)…。
 また、勝共連合=統一協会は「自分の韓国中心主義をカムフラージュして『日の丸』『君が代』を大いにかかげ、独自の『理論』づけまでしている」「自民党政府でさえ、"慣習法"によるといわざるをえないものを『国旗』だと断定している」(p.121)。「『日の丸』の意味づけとして、勝共連合は、『中央の赤丸は太陽を表し、赤色は人の真心を示し、誠心誠意、進取向上と勇気の気象を意味している』とのべている。『赤色』が『人の真心』を示すとのべながら、現実には、勝共連合が『赤色』をダカツのように嫌っているのは皮肉である」(pp.121-122)。
 「『君が代』についても、国歌でもないものを『国歌「君が代」』として」…「『君が代……』の君主主義をはぐらかし、国民と君主をごっちゃにして、あたかも『君主も国民も』永く栄えるように願ったものであるかのように美化したペテン的解釈である」(p.122)。消える飛行機雲~♪僕たちは見送った~♪
 「文鮮明が魚釣りマニアであることは知る人ぞ知るである。『キリスト教の崩壊期』に入っているアメリカを魚にたとえて"釣る"といった文鮮明が、そのおごりの思惑とは別に、『新しい宗教ブーム』がおこるどころか、かれ自身が弟子とともに監獄に"釣ら"れてしまったのである」(p.152)。あっ…(察し)。
 「本書の執筆過程で、かなりの知人、友人から問われて、『いま、統一協会の問題をやっている』と答えると、対照的な反応がもどってきた。一つは『統一協会? どんな教会ですか?』というもので、もう一つは『まだ統一協会はあるのか!』というものだった」(p.278)…。そっ閉じ。

 

引用文献
榊利夫(1993)『文鮮明主義の批判 統一協会の過去・現在・矛盾』白石書店