【書評のようなもの】鳥越皓之・金子勇編『現場から創る社会学理論』

 文が鮮明な“真の保守”と関わる「カルトとは、信者や一般市民の人権を侵害し、社会規範を無視した活動によって社会問題化する団体を指す」(p.35)。「カルトは、社会通念や法律を無視した行為をなす一方で、自分たちの利害のためには訴訟を乱発する。勝ち負けはともかく、長期の消耗戦で批判者の金と時間を消費させ、気力を萎えさせるのがカルト側の目的」(p.36)…。
 「信教の自由、宗教的マイノリティを名のることで批判を封殺しようというカルト団体が少なくない」(p.42)が、これは“逝き過ぎた神主義”である。「元統一教会信者と弁護士たちが20年近くの時間をかけて判例として定着させた信教の自由とは、宗教を自律的に選択する自由であり、それは正体を隠した勧誘や本人の弱みを突いたり不安を煽ったりする威迫的手段から守られなければならない、というものである」(p.44)。一方、カルトを守るのが“真の保守”の原理なのである。

 

引用文献
櫻井義秀(2017)「カルト問題と宗教社会学」鳥越皓之・金子勇編『現場から創る社会学理論』ミネルヴァ書房