【書評のようなもの】倉橋耕平『歴史修正主義とサブカルチャー』

 倉橋耕平氏は、『歴史修正主義サブカルチャー』で1990年代の保守言説(デムパ)を「アマチュアリズム」と「参加型文化」という視点から論じている。以下、引用しぐさ。
 「歴史修正主義の主張は学問のフィールドでは共感も評価も得ていない」…「歴史修正主義と親和性が高いのは」「ビジネス系の自己啓発書、保守論壇誌、週刊誌、マンガなどの商業出版とインターネットである。それらは、言説内容の正しさよりも『売れる』かどうかを優先する『文化消費者による評価』を至上命題としているメディアである」(p.13)。かつて「有害コミック」を「いやしき商業主義」であると批判していた300人委員会・高橋偽史朗こそが「いやしき商業主義」であり、史朗を覗くとき、史朗を覗いているのだ。
 「高橋らはWGIPの『洗脳』の成果を過剰に評価している」(p.51)が、それは「高橋らの集団」がポストオウムのへんないきものだからである。実際、オウム真理教は「GHQの洗脳」(3S政策)という妄想を取り入れていた。ディベートって…“ああ言えば上祐”。
 事実を歪める「高橋らの集団」に対し、「考えられる一つの方法は、歴史修正主義者を『ちゃかす』ことである。しかし、これが可能なのはごく一部の人に限られる」(p.228)。「いまなすべきことは、彼らの『知』のあり方を熟知すること」(p.230)であり、イオンド大学・名越二荒之助の強烈なデムパを知る必要があると“伝えられよ”。

 

引用文献
倉橋耕平(2018)『歴史修正主義サブカルチャー青弓社