【書評のようなもの】堀江宗正編『宗教と社会の戦後史』

 「1948年の時点で、米国は日本の占領政策を、非軍事化・民主化政策から、『反共の防壁とする』」「方針に転換する」…「岸信介などの戦犯を釈放した」(p.6)。岸ぴょんがんばれ!「逆コースとは、(1)米国主導による日本の再軍備、(2)反共産主義言論統制ナショナリズム強化などの非民主化、(3)経済成長による戦前回帰の印象の緩和」(同上)であった。
 「教育をめぐる問題でも、じわじわと逆コースが進んだ」…「86年に『日本を守る国民会議』の日本史教科書」(p.9)でお察しのように“名越化”していった。ナゴシストらの目指す方向性は「日本軍の残虐さを歴史から削除し、侵略を正当化する一方で、道徳教育や神話教育を通じて愛国心を高めようというものである」(p.10)。
 「靖国の地位復権が、もともと米国主導での日本の再軍備と連動していた」…「靖国神社の今日のあり方は米国政府による黙認に依存しているのである」(p.12)。「国家のために国民が犠牲となることを顕彰する靖国神社」(p.13)は、会社のために社員が犠牲となることを顕彰する“和民神社”である。
 「日本で反共を強く打ち出している教団としては世界基督教統一神霊協会」…「68年に国際勝共連合を立ち上げ」…「自民党タカ派との人脈を築いている」(p.14)。タカ派は文が鮮明に統一されているのである。

 

引用文献
堀江宗正(2019)「戦後70年の宗教をめぐる動き いくつかの転機を経て」堀江宗正編『宗教と社会の戦後史』東京大学出版会