【書評のようなもの】樋口直人他『ネット右翼とは何か』

 適当に引用しぐさ。
 永吉希久子氏は、「①中国・韓国への否定的態度、②保守的政治志向、③政治・社会問題に関するネット上での意見発信や議論、という3つの条件をすべて満たす場合にネット右翼と見なす」(p.17)とした。そして、①と③を満たすが「②の保守的政治志向がみられない場合には、オンライン排外主義者と定義する」(同上)。2017年12月に実施された「市民の政治参加に関する世論調査」のデータを分析した結果、「ネット右翼の割合は1.5%であり」(p.18)、「オンライン排外主義者の割合は3.0%だった」(p.19)。「ネット右翼とオンライン排外主義者は反韓・反中の態度を共有するものの、現政権や政治との距離感が異なっている。ネット右翼は政府を支持し、保守を自任する傾向にある。一方、オンライン排外主義者は現在の政府と距離をとり、政治的立ち位置も明確ではない」(p.21)。ネトサポ(食口のようなもの)とは異なる野良ネトウヨはオンライン排外主義者に分類される。
 松谷満氏は、桜井誠支持層を分析し、「桜井支持層には、階層的な偏りや特徴はないということが明らかになった」…「階層的な偏りや特徴がないという点では、ヨーロッパ極右と異なる日本の特徴といえる」(p.65)と指摘している。桜井支持層の「価値観や政治的意見は日本の右派の主要な関心を網羅したような特徴をもつ」(p.67)。これは高橋史朗がネットに沸いたような事態であり、「背広を着た右翼」が進化(退化)し、「パソコンを使う右翼」(ネット右翼)として可視化されるようになったのである。
 樋口直人氏は、Facebookに沸いたネット右翼を分析している。学歴や年齢を公開している者について集計したところ、「大学卒業者が60%を占めていて、かなり高学歴だといっていい。年齢も30代から50代がほとんどを占め」(p.75)ていたという。「宗教を背景にもつネット右翼はそのほとんどが幸福の科学信者」(p.89)…。スゥ―…高橋史朗です。
 山口智美氏は1990年代、フェミニズムNPOの「掲示板を管理していたことがあったが、あまりにフェミニズムたたきの荒らしが殺到した結果、やむをえずその掲示板を閉鎖した」(pp.179-180)という。DQNなネット史朗が荒らしていたのである。「フェミニズムへのバックラッシュは、地域では日本会議系や統一教会系の宗教保守勢力が中心となって動きを作り、日本政策研究センターの『明日への選択』、新生佛教教団系『日本時事評論』(日本時事評論社)や、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)系『世界日報』(世界日報社)などの右派媒体がフェミニズム批判記事を次々に出していき、『正論』(産経新聞社)、『諸君!』(文藝春秋)などの右派論壇誌や、『産経新聞』などのマスコミにもフェミニズム批判記事が掲載されていった。ネット上ではこうした既存保守メディアの情報が引用・参照されながら、ブログや『2ちゃんねる』『フェミナチを監視する掲示板』などの掲示板、2000年代中頃以降には『mixi』などのSNSフェミニズムバッシングがおこなわれていた」(p.180)…。「元民社党職員だった『ドクター差別』」(p.181)…「高橋史朗」(p.182)…。そっ閉じ。

 

引用文献
樋口直人・永吉希久子・松谷満・倉橋耕平・ファビアン シェーファー山口智美(2019)『ネット右翼とは何か』青弓社