【書評のようなもの】中牧弘允・ウェンディ スミス編『グローバル化するアジア系宗教』

 統一教会などによる「『信教の自由』や『宗教的寛容』を求めるロビィ活動がアメリカ議会や学会等で行われている」(p.60)。アメリカの宗教研究の「雑誌では筆者に論文を依頼したにもかかわらず」「統一教会批判の論文を寄稿すると、事実誤認や論理展開上の問題点を指摘するでもなく、意味不明の断り方をしてきたことが何度かある」(p.61)。うわー。「統一教会は、欧米では宗教団体として活動し、韓国では多国籍企業、日本ではアンダーグラウンドにおいて人材と資金調達を行っている」(p.68)。「文鮮明によれば」「堕落論では不幸の原因である原罪の真相が解き明かされる。原罪は後にサタンとなる堕天使ルーシェルと人類始祖のエバが姦淫・不倫を犯し、神に背いた悪の血統がアダムを経て人類全てに相続されている」(pp.68-69)…。堕落しぐさ。統一教会は「日本では1964年に久保木修己を初代会長にして宗教法人の認可をえる。1966年に全国大学原理研究会が創立され、大学生・青年の伝道が活発化する。1968年に国際勝共連合が設立され、反共政治運動を始める。1973年には世界平和教授アカデミーを設立し、学術・言論界に働きかける」(p.69)。「日本における統一教会の活動は宗教法人統一教会を軸にして、①学生・大学人を信徒やシンパとする大学組織(原理研究会世界平和教授アカデミー)、②統一教会の活動に特別な便宜を図る保守政党政治家と韓国の朴大統領の反共政権を翼賛する政治運動(国際勝共連合)、③これらの活動を可能にする資金を調達するための経済部門から成り立っていた」(pp.69-71)。安倍壺三氏などの真の保守政治家は「堕落したエバ国家の日本」(p.74)をトリモロそうとしているのである。真の保守は文が鮮明。

 

引用文献
櫻井義秀(2012)「統一教会の宣教戦略と組織構造 グローバル化とマネジメントの視点から」中牧弘允・ウェンディ スミス編『グローバル化するアジア系宗教 経営とマーケティング東方出版