【書評のようなもの】永田浩三編著『フェイクと憎悪 歪むメディアと民主主義』

 とりあえず引用しぐさ。
 「ここ数年の『正論』『WiLL』『Hanada』『SAPIO』といった雑誌に掲載された記事のタイトル」が「批判というレベルをはるかに超えた、特定の民族や人種への差別と排除を扇動する言葉」(川端 p.68)になっている。エバ国家日本会議高橋史朗氏は、親学推進協会メールマガジン第83号で「読者の関心を集めるための刺激的で下品なタイトルに悩まされてきた」などと述べていたが、史朗を覗くとき、史朗を覗いているのである。ポストオウムの時代に「高橋らの集団」によって「新しい歴史教科書をつくる会」が設立されてから、「保守論壇誌にも『つくる会』関係者の歴史教育批判や歴史修正主義の主張が掲載され」…「教育学者の高橋史朗は」「『生学連』(生長の家学生会全国総連合)の幹部活動家」(同上 p.73)…。この高橋史朗氏は、家庭連合(統一協会)とも関りがあり、かつて雑誌『知識』にデムパを載せたり、ビデオ『性教育過激派のねらい』に出演したり、最近では「世界戦略総合研究所」や「アジアと日本の平和と安全を守る山梨県フォーラム」で危ないデムパを飛ばしていた。家庭連合(統一協会)も親学を推進しており、「親学批判者は文化共産主義」とのこと。しかも高橋史朗氏は、オウ…いや、幸福の科学にも関わっている。「保守論壇誌のほうは、“組織買い”をねらったコンテンツにも熱心に取り組み始めている。たとえば、2016年に別冊『正論』が『霊性・霊界ガイド』という一冊丸ごとオカルト大特集を組んだが、これは幸福の科学など宗教右派の組織買いをあてこんで企画されたものではないかといわれている」(同上 p.79)。高橋史朗氏が3000部ぐらい買ってそう。一方、久保木修己…じゃない、えっと、「『正論』では」「安倍ブレーンの八木秀次が」「天皇批判ともとれる文章を掲載」(同上 p.82)…「安倍応援団は」…「カルト宗教のような個人崇拝ぶり」(同上 p.83)…。あっ…(察し)。
 2017年11月に辻大介氏が実施したWEB調査では、「保守的(あるいは右派的)な政治意識」…「いわゆる『嫌韓嫌中』感情」(辻 p.249)…「政治や社会問題について、過去1年間にネット上で意見・考えを発信したり、議論に参加したことがある」…「以上3つの条件すべてに当てはまる『ネット右翼』層は、全回答者4007人のうちの85人、2.1%であった」…「回答者がネットのヘビーユーザーに偏り」「この2.1%という数値は実際より高めに出ていると思われる」…「事後層化という手法で簡易補正をかけると、『ネット右翼』率は1.1%まで下がる。100人に1人、もしくはそれを下まわるくらいが実情だろう」(同上 p.250)。アダルトマン将軍は100人に1人ぐらいいるが、彼らは「嫌韓」であっても「日韓癒着」(保守論壇誌における「閉された言語空間」)にはスルーしぐさで、そっ閉じ。

 

引用文献
川端幹人(2018)「劣化する『保守』論壇誌と極右運動」永田浩三編著『フェイクと憎悪 歪むメディアと民主主義』 大月書店
辻大介(2018)「メディアの党派化と世論の分断」永田浩三編著『フェイクと憎悪 歪むメディアと民主主義』 大月書店