【書評のようなもの】藤田庄市『カルト宗教事件の深層』

 2015年、あべぴょん記念宗教の統一教会(統一協会)は、家庭連合に名称変更しぐさをしている。「2015年8月26日に文化庁が『世界平和統一家庭連合』(家庭連合)への名称変更を認証したのである。同教団の公式サイトの『幸せ写真館』には幸せそうな夫婦や家族の写真がこれでもかと出てくる」(p.169)。これは八木秀次氏の“思う壺”である。この名称変更しぐさには、政治家(シモムーラ)が関わっているようだ。「日本の政界に影響力がある宗教団体は創価学会の次が統一教会。日刊紙(筆者注―『世界日報』を指す)を持っているし、海外にもメディアを持っている」(p.171)と統一教会幹部が発言したといわれる。「認証時、文化庁を統轄する文部科学省の大臣は下村博文代議士だった。下村は安倍晋三首相の側近であり」…「その下村氏、世界日報社の月刊誌『ビューポイント』に2012年から約2年半の間に3回にわたり、インタビュー記事に登場している」(pp.171-172)。「下村前文部科学大臣は旧称統一教会(家庭連合)と密接な関係と見てよいだろう」(p.172)。現在、右派「勢力の解明の流れの中で、日本会議は実像が明るみに引き出されてきたが、同会議とも歩を並べてきた国際勝共連合=旧称統一教会(家庭連合)の動きは社会に知られないままである」(p.173)…。
 さて、高橋…ではなくオウム真理教については、「麻原=オウムの土壌は70年代に興起し、80年代に隆盛したオカルトであり、ニューエイジであった」…「超古代史、ピラミッド、ハルマゲドン、終末、神託等々。麻原の言動からしても、彼の原型に登場したものはすべてオカルト雑誌・書籍の定番だった」(p.40)…。「1980年代~90年代前半、社会の風潮がオカルトに親和性があったとはいえ、『ムー』の情報が真実であるとは、作り手の編集者はじめ読者の多数は考えていなかったであろう。ところが少数であれ、情報を真実と思い込む一群が存在したのである」(p.47)…。「オカルト雑誌がオウムの勧誘拡大の窓口、宣伝機関になってい」(p.83)たのであり、オカルト・デムパ系出版社の責任は重い。

 

引用文献
藤田庄市(2017)『カルト宗教事件の深層 「スピリチュアル・アビュース」の論理』春秋社