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【書評のようなもの】上杉聰『日本会議とは何か』

 上杉聰氏は『日本会議とは何か 「憲法改正」に突き進むカルト集団』で次のように述べている。「日本会議にはいくつもの弱点と欠点がある。その第1が、世間知らず、あるいは社会の現実を知ろうとしない傾向であり、もう1つが自分で考えようとしない他律的な傾向があること」(上杉 p.40)…。そして、上杉聰氏は、育鵬社のトンデモ教科書の支持者の中にヘイト団体の人たちがいることを指摘する。あるヘイト団体の女性は「育鵬社の教科書に反対しているのは在日韓国・朝鮮人であるとスピーカーで叫」(同上 p.85)んでおり、彼女たちは「日本会議のホームページからとった憲法改正のチラシを撒き、そことの繋がりを示した」(同上)という。あっ…(察し)。
 上杉聰氏がいうように、インターネッツからお外に出ちゃったヘイト団体の人たちは、日本会議と繋がりを持っているケースもある。「反ジェンダーフリーのウェブサイトや掲示板をつくるなど、ネット上でもすごく活動していた日本会議系の女性」(山口・斉藤 p.11)もいるし、「他にも日本会議統一教会のメンバーでありながらネットでも活動しているという人たちも」(同上)いる。ここは酷いインターネッツですね
 ちなみに「日本会議の弱点」の高橋史朗氏は、2001年から「『親学』を広め」(高橋 p.21)るようになるが、彼は、江戸しぐさマニアでもある。「江戸時代の子供たちが世界で最も礼儀正しかったといわれる最大の要因は、『江戸しぐさ』が江戸の町方に浸透していたことにあると思われますが、『今しぐさ』すなわち、わが家のルールづくりが求められているのではないでしょうか」(同上 pp.133-134)とか「明治維新の原動力は、志士たちの国を憂える気概であったと思うんです。気概を育てた私塾、松下村塾をはじめとして、各藩校、町方に行き渡っていた人を育てる仕組みである『江戸しぐさ』など、すぐれた人づくりの方法が多様に存在していました」(同上 p.155)とか言っちゃう。
 問題なのは、埼玉の教育相談の専門家の発言を引用し、「発達障害は2歳までに対応すれば、ほぼ健常になる」、「予防に力を入れるべき」、「予防策とは何かというと日本の伝統的な子育て」(同上 p.160)と書いちゃってる点(もちろん間違い)。「漢字を含め、日本が育んできた伝統文化、あるいは子育て方法を取り戻すことは、現在問題となっている発達障害の予防や児童虐待の防止、親心の回復にまで関係してくるのではないかと感じてい」(同上 p.274)るらしい…。また、埼玉の小学校で「発達障害児への対応策として、特別支援員を8人雇っていますが、年間800万円かかります」、「このままいけば、生活保護や障害者年金も増えていく」(同上 p.160)と述べ、「親学」が社会保障費の抑制策になるとしている。
 その他、高橋史朗氏は、「世の中全体の繋がりの希薄化が、少年犯罪の急増や、学力の低下などの根底にあるように思う」(同上 p.165)とか、「電車に乗っていて、隣にいた二人の大学生」が「携帯で玉音放送を聞いている」(同上 p.226)とか、「日本人としての誇りや愛国心を育てようと言っている人に限って、家庭のことを顧みなかったり、威張って奥さんや子供に挨拶ができていなかったりしますからね(笑)」(同上 p.225)とか…えっ。「親を殺した後に平気な顔でゲームをするような子供も出てきてしまいました。ひと昔前は、『お天道様が見ているよ』『人に笑われるよ』という言葉が、良心や恥の意識を育んできたのだと思います。ところが現代の親世代が、そうした感覚を失いつつある中」(同上 p.11)…。高橋氏史朗氏…お前を見ているぞ! 椛島有三氏の憂鬱は続く…。

 

引用文献
上杉聰(2016)『日本会議とは何か 「憲法改正」に突き進むカルト集団』合同出版
山口智美・斉藤正美(2016)「特殊扱いでは右派の全体像は見えない メディアは調査報道の手法で取材せよ」『Journalism』312号(2016年5月号) 朝日新聞出版
高橋史朗(2010)『主体変容の教育改革!』MOKU出版