【トンデモ】『新しいみんなの公民』育鵬社

f:id:aki_mmr:20160617014732j:plain

 日本トンデモ会議の関連書籍を扱う明成社の社長・小田村四郎氏は、育鵬社教科書を「国家再生の礎となる教科書」だと言っちゃってた。『祖国と青年』昭和62年(1987年)8月号で、小田村四郎氏は、GHQは「『罪』の意識を日本国民に植ゑ付けた(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)」と書いちゃってる。で、それは「『東京裁判史観』であり、この史観を払拭しない限り、わが国の『国民的同一性』の回復、即ち祖国の再生は不可能」(小田村 p.109)なのだそうだ。WGIPなるものは、その後、こヴぁゃιぃ氏のトンデモ漫画『戦争論』(1998年)によって広まっちゃう。ちなみにオウム真理教も「戦後GHQの手により日本の良さの全否定、アメリカ礼賛の思想が植え付けられ、日本人は奴隷化された」(辻 p.366)としている。アメリカは「日本を追い詰め挑発、先制攻撃させて戦争の責任を押し付けた」(同上 p.370)のだそうだ…。なお、『祖国と青年』平成27年(2015年)4月号では宇宙戦艦ヤマトのパロディなのかオウム真理教のパロディなのかよく分からない漫画が載ってしまった…。修行するぞ修行するぞ修行するぞ!
 さて、半藤一利氏は、次のように述べている。太平洋戦争の「戦没者のうちの7割が、広義での餓死だと思っています。このような軍隊は古今東西にありません。人間をまるで、将棋の駒のように扱っている」「軍の指導者たちは無責任と愚劣さで、兵士たちを死に追いやりました」「太平洋戦争を巡り、これまで各国の将軍、提督たちを数多くインタビューしてきました。みんな、偉い人は生きているんですよ」(毎日新聞 2014年8月15日)。…偉い人の立場に立った「上級国民史観」で祖国を再生しよう。修行するぞ修行するぞ修行するぞ!
 修行に必要なのは、育鵬社教科書だ。小田村四郎氏は「光輝ある祖父の偉業を否定する自虐的教科書と、国家意識を欠如し家族解体を推進する公民教科書に代る」「育鵬社教科書こそ国家再生の礎となろう」(川上他 市販用付録p.2)と述べている。育鵬社の公民教科書によれば「江戸しぐさは単なるマナーではなく、人を思いやり、ともに暮らしていこうという生き方の知恵」(同上 p.9)だという。さらに人間の遺伝子の「大量の情報がどのように集められ、どのようなしくみでだれによって遺伝子に書きこまれたのかは、まだわかっていません」「この人間業をはるかに超えた事実に対しては、何か偉大な存在(サムシング・グレート)の力が想定されています」(同上 p.11)…。修行するぞ修行するぞ修行するぞ!

 ちなみに高橋史朗氏も人間の細胞が調和しているのは「『サムシング・グレート』と呼ぶしかない力のおかげ」(高橋 2004 p.94)とか、「日本人は古代より、八百万の神々や大自然の偉大な働き(サムシング・グレート)に感謝して」(高橋 2005 p.19)きたとか言っちゃう。もうやだこの人。

 

 真のサムシンググレートはこうだろ。 

「ふーん、で、君は日本会議のキャラで誰が好きなの?」

「オウフwwwいわゆるストレートな質問キタコレですねwwwおっとっとwww拙者『キタコレ』などとついネット用語がwwwまあ拙者の場合日本会議好きとは言っても、いわゆるウヨクとしての日本会議でなくディストピア作品として見ているちょっと変わり者ですのでwwwエイト・オーシャンの影響がですねwwwwドプフォwwwついマニアックな知識が出てしまいましたwwwいや失敬失敬wwwまあ萌えのメタファーとしての高橋史朗は純粋によく書けてるなと賞賛できますがwww私みたいに一歩引いた見方をするとですねwwwポストオウムのメタファーと『いやしき商業主義』のキッチュさを引き継いだキャラとしてのですねwww八木秀次の文学性はですねwwwwフォカヌポウwww拙者これではまるでサムシンググレートみたいwww拙者はサムシンググレートではござらんのでwwwコポォ」


引用文献
小田村四郎(1995)『占領後遺症の克服 祖国の真の独立のために』国民文化研究会
辻隆太朗(2011)「オウム真理教陰謀論」宗教情報リサーチセンター編(井上順孝責任編集)『情報時代のオウム真理教』春秋社
川上和久(2011)『こんな教科書で学びたい 新しいみんなの公民』育鵬社
高橋史朗(2004)「いま、なぜ教育基本法の改正なのか」 日本の教育改革有識者懇談会『なぜいま教育基本法改正か 子供たちの未来を救うために』PHP研究所
高橋史朗(2005)「和文化教育と脳科学教育 伝統文化の創造的再発見」『日本教育』339号 日本教育会