【トンデモ】高橋史朗の有害コミック規制論①

 1999年,「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(児童ポルノ法)が成立した.高橋史朗は,自民党の機関紙において「同法案は児童の買春,ポルノ,人身売買は重大な人権侵害であると初めて明記」(p.59)したことを評価しつつも,児童ポルノ法から「『単純所持』を削除したが,果たしていかがなものか.スウェーデンのように厳しく規制すべきである」(p.60)として規制強化を訴えていた.そして「法律の適用に当たっては,国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない」(第三条)という文言が追加されたことに対し,「個人の内心やプライバシーへの介入,『表現の自由』の侵害だなどと反対したり」「『わいせつ』の定義が問題だという主張もあるが,大人が子供を犠牲にし,ターゲットにして欲望を満たし,『いやしき商業主義』によって大もうけしていることの是非こそが問われているのである」(p.60)と述べていた.
 さらに高橋史朗は,「児童ポルノの定義から絵を削除したが,疑問が残る」(p.61),「同法案は実存する児童を被写体としたポルノに限定したが,コミック,アニメなどの児童ポルノについても厳しく規制すべきである.悪質で露骨な性描写の目立つ『少年少女向けポルノコミック』なども児童をターゲットにした大人のいやしき商業主義にもとづくものであり,当然規制すべきである」(p.60)と主張している.大雑把で不明確な「いやしき商業主義」なるものを理由に挙げているが,これでは何でも規制の対象になり得る.例えば,「産経新聞は,いやしき商業主義にもとづく愛国ポルノであり,規制すべきである」と言い張ることもできる.


引用文献
高橋史朗(1999)「児童買春 豊かな社会の心の貧困 問われる大人の性モラル 児童買春等処罰法が成立」『月刊自由民主』555号 自由民主党